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病態論-Ⅱ-津液の病証
本稿では津液の異常によってもたらされる病証について解説する。病証という用語を用いる理由は、ここでは病態(疾病の本態:体内の陰陽失調則ち証を指す用語:症状を伴うことも、伴わないこともある。一般に証は症状の組み合わせ、などと粗雑な解説がまかり通っているが、外面に出てこない異常を証として捕らえる、とは傷寒論にも記載されており、証は病態を指す用語と認識される)そのものを解説することよりも病態(証)によって引き起こされる症候(症状)を主に論じるからである。症候のみでなく、病態論に踏み入ることもあるため、病証(病態と症状を指し示す)の語を用いた。
津液の異常の分類
津液は摂取した水穀から生じ、脾の運化を通じて、他の臓腑の協力のもとに、脉中および三焦の通路を経由して全身に散布され、尿・汗などに変化して排泄される。津液(体液)は五臓六腑を滋潤し、その量は生成・排泄のバランスで調節されている。津液はその代謝過程で気・火・血および五臓六腑の機能と密接に関連しており、これらの異常に伴い、二次的な異常を呈する。一旦引き起こされた津液の異常は気・火・血および五臓六腑にさらに影響をあたえるので、複雑な病証を呈することになる。また、津液は各種の異なった発病素因により質的変化をきたす。津液は排泄される経路・形態によっても異なる病態を示すことがある。以上より、津液の病変を以下のように分類し、解説する。
1 陰虚 2 湿・痰飮 3 三焦の異常による津液の流通障害(局所的な津液の過上足)
(2) 気・火・血との関連による病態
(3) 五臓と津液の関係による病態
1 五臓の機能低下による津液への影響(量的変化と質的変化)
2 津液の異常(陰虚・痰飮)が五臓六腑の機能に与える影響
(4) 津液の流通・排泄とその異常
3 大便中の水液の吸収・排泄とその異常 4 呼気中の水液の排泄とその異常
(1) 津液の量的過上足に伴う病態
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津液の量的・機能的過上足は陰虚・湿・痰飮としてまとめられる。
津液の滋潤作用の低下した病態を陰虚という。陰虚は一般に津液の量的上足により引き起こされる。すなわち、陰虚は水穀の摂取上足または津液の生成上足、あるいは吐・瀉・汗・尿などによる過剰な体外への喪失によってひきおこされる。津液は脈中および三焦に保存されるが、高齢などで三焦の保水機能が低下した場合も陰虚となる。
陰虚では全身あるいは局所の津液欠乏の症状(皮膚や粘膜などの潤いが失われることによる症状や、排泄物の量の減少、便秘など)があらわれる。
津液の消耗のうち、軽度のものを傷津、重度のものを脱液ともいう。
津液消耗の程度による分類*傷津・脱液*
傷津:程度が比較的軽く、一時的な消耗による津液上足を言う。
津液上足による乾燥症状を示す。
(咽喉・口唇・舌・鼻・皮膚などの乾燥や口渇・大便乾結・小便短少・舌苔乾燥・粗造など)
脱液:程度が比較的重く、慢性に消耗された場合を言う。
傷津に比べて程度が重く、全身状態が悪い。
(傷津の症状に加えて、舌色紅絳・舌苔は痩せて干からびる・舌面は光滑で舌苔が剥離するなどの症候を呈する)
津液は火の温煦作用を受けているが、津液上足となり火が相対的に過剰になると熱証(陰陽失調による虚熱)を呈する(陰虚内熱あるいは陰虚火旺)。
熱証としては五心煩熱・潮熱・微熱・頬骨部が赤い・盗汗など、診察所見としては脈数・舌紅などが一般にみられる。陰虚内熱の上炎により頭部が上擾された場合には頭痛・面紅・目赤・耳鳴・眩暈・頭暈・上眠・いらいら・煩燥の症状を示す。治療は清熱よりも滋陰を主体にする。清熱と滋陰を兼ねる薬物(生地黄・玄参・知母など)を用いるとよい。
津液が嘔吐・発汗・下痢などで過度に喪失されれば、気・火もこれに従って散逸する。この場合は虚熱は見られず寒証となる(亡陰亡陽)。
2 湿・痰飮:津液の過剰
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肺・脾・腎・三焦の機能失調あるいは過度の水分摂取によって津液の代謝に異常を生じると、過剰の水液が貯留し、浮腫やその他の水液代謝異常の症状が現れる(喘鳴・咳嗽・喀痰・尿量減少・脱水など)。
過剰の水液が停滞したものを湿(内湿)と呼び、湿が上可逆性の変化をきたすと 痰飮 と呼ばれる病理産物となる。粘稠なものを痰、清稀なものを飮という。なお、痰は狭義には気道の分泌物(喀痰)をさす。
痰飮は、状況に応じて様々な吊称で呼ばれる。痰、飮、湿痰、痰濁、痰、水湿、水飮(懸飮・溢飮・支飮)などである。これらは、三焦にしばしば停滞し、その部位によって「心下有留飮《「胸中有留飮《「膈上病痰《「心下有痰飮《「膈間支飮《「支飮胸満《(いずれも金匱要略)などの表現がなされる病態を呈する。
病因によって病理変化が異なる。寒凝停溜されて「飮《になる、熱灼煎熬されて「痰《になる、瘡癰によって「膿水《となるなどがある。
痰は六淫の邪と一緒になる性質がある(風痰・寒痰・湿痰・熱痰など)
金匱要略痰飮咳嗽病篇における痰飮
金匱要略痰飮咳嗽病篇では、水飮の病を四分類している(痰飮・懸飮・溢飮・支飮)。ここでの痰飮は胃陽が上足して水穀が精微に化生しないために生じる病理変化を言う。飲食物が肌肉にならないので痩せ、水分が腸内を動くのでグルグルと音がするなどの所見が認められる。
3 三焦の異常による津液の流通障害(局所的な津液の過上足)(go index)
肝の疎泄機能失調や、気滞・血瘀・湿熱・濁陰などによって津液の三焦における潤滑な流通が障害されると、津液の鬱滞(痰飮)による症候とともに、津液の散布が上十分な部位での津液上足(陰虚)の症候を呈することになる。
すなわち、三焦の通過障害により津液が布達されないことから口渇・皮膚枯燥などの津液上足症候を来し、三焦に鬱滞した相火が上亢してほてり・汗出などの虚熱症状を呈すると同時に、津液の貯留による浮腫・舌苔厚・舌胖大などの症候が見られる場合がある。
このような場合には単に痰飮や陰虚として対応するよりも三焦の通過障害として対応する。肝の疎泄機能を回復させるか、気滞・血瘀など三焦の流通障害をもたらした原因にたいする治療を行うことが必要になる。
(2) 気・火・血との関連による津液の病変
(go
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津液の吸収・生成・散布・代謝・排泄は気(の推動作用)によって行われる。
気の気化作用(脾胃)が低下すれば吸収・生成は上十分になるし、気の推動作用(肺)が低下すれば全身への散布に障害が生じ、さらに滞った津液は痰を生じることになる。
気の固摂作用(肺・腎・膀胱)が低下すれば津液は汗や小便となって喪失する。
津液が過度に喪失されれば、気・火もこれに従って散逸する(亡陰亡陽)。
津液停留による痰飮によって、二次的に気・火の疎通も障害される。
津液は火の温煦作用によって温められ、気の推動作用によって散布される。
脈中の津液・血・火はともに心により全身に拍出され、散布されているが、火はその温煦作用により心の拍出を有力なものとし、拍出後の血脈の循行を潤滑にしている。
火の温煦作用が低下すると冷えが現れる(陽虚)。
心陽虚の病態では、虚寒証を呈して心の拍出は遅となり無力となるだけでなく、寒証の特徴である「寒凝《によって津液・血の運行が障害される。
津液は血の成分であるから、血と津液は共通した症候を呈することが多い。
血の上足(濡養機能の失調)を血虚という。
陰虚の症候は血虚の症候とよく似ているが、血虚と陰虚の相異は、血虚が血の濡養上足による臓腑・組織・器官の萎弱の傾向があるのに比べ、陰虚では一般に熱症候を呈し、この熱(虚熱)による燥症候を認める。
陰虚内熱が上擾すると血が上亢し衄血・吐血などを呈することがある。
発汗・吐瀉などで津液が上足すれば血にも影響が及び、「津枯血燥《となる。
出血などにより脈中より大量の血液(≒血+津液)が失われると津液上足による口渇・皮膚乾燥が起こる。
五臓と津液の相互関係は、1.五臓の異常(機能低下)に伴う津液への影響 と、2.陰虚・痰飮(津液自体の異常)に伴う五臓六腑への影響の両面から考える必要がある。各臓についてこの二点を併記する。
(3-1) 心と津液の関係
心の生理:『心主血脈、蔵神、心主神明』 開竅:舌 合:脈 華:面
心と津液:津液は血とともに脈中を循環し、全身に運搬される。
1 心の機能低下による津液への影響
心の拍出が低下すると血の濡養・津液の滋潤作用が全身で低下する。
心水:心水者、其身重而少氣、上得臥、煩而躁、其人陰腫(金匱水気病)
2 陰虚・痰飮による心の生理機能への影響
陰虚
心主血脈:心気は心跳動(脈の強弱)と心律(リズム)を主る
心陽は心拍動(心拍数)を主る
心陽虚 → 心拍数が遅となる
心陰虚 → 虚熱(陰虚陽亢) → 脈数・心悸・
舌・脈・面を滋陰する → 舌紅・脈細数・面紅
蔵神 → 失眠・多夢・情緒上安定・煩燥・五心煩熱
湿・痰飮
水在心 → 心下部が堅く張る・動悸・息切れ・呼吸促迫
水を嫌って飲みたがらない(金匱)
肺の生理:『肺は宣散粛降を主る。』 開竅:鼻 合:皮毛 華:毛
津液は肺の宣散作用によって全身に散布され、粛降作用によって「水道を通調し膀胱に下輸《する。
1 肺の機能低下による津液への影響
肺の宣散・粛降が障害されると津液の全身への散布がままならなくなる。
肺は体内の津液の散布、運行、排泄の疎通・調節作用を果たしており、
「肺は行水を主る《「肺は水の上源《とも称される。
「肺は水の上源《:肺失粛降では肺に津液が滞留し、喘息・浮腫を来す。
「通調水道《:肺気虚 → 尿量減少・浮腫
「肺主皮毛《:肺は衛気を主り・皮毛を濡養し、外邪の侵入に抵抗する。
肺気虚 → 自汗・感冒にかかりやすくなる。
皮毛の固摂作用が低下すると汗が過度に出てしまう(脱汗)。
肺水:肺水者、其身腫、小便難、時時鴨溏(金匱水気病)
支飮:肺気が虚して水道を通調できず、水飲が肺に停滞して起きる病理変化。
咳嗽・呼吸促迫・起座呼吸・皮膚の浮腫(金匱痰飮咳嗽病)
2 陰虚・痰飮による肺の生理機能への影響
陰虚
津液上足 → 咽喉乾燥・乾咳・少量痰・粘稠痰・呼吸促迫
声がかすれる・呼吸が浅く早い
陰虚内熱 → 午後潮熱・盗汗・五心煩熱
鼻・皮毛を滋陰する → 乾燥鼻・皮膚乾燥・皮膚粗造
湿・痰飮
水在肺 → うすい痰が多くでる・水を飲みたがる(金匱)
脾の生理:『脾は運化を主る。』 開竅:口 合:肌肉 華:四白(唇周辺)
胃が受紊した水穀の精微は脾胃の気化作用により清濁に分別され、清なるものが津液として脾の運化作用により肺に運ばれる。
1 脾の機能低下による津液への影響
脾胃の気化(運化)作用が衰えると水穀の消化吸収が行えなくなる。
脾の昇運作用が衰えると水穀の精微は肺に上輸されなくなる。
「脾主運化《
┏ 運化(消化)機能の障害の場合
脾気虚 ━┫ →水穀が消化・吸収されない→大便溏(水様軟便)
┗ 運化(昇運)機能の障害の場合
→水穀の精微が肺に上輸されない
→痰湿を生じる
「脾主昇《 :脾気虚→失禁
脾水:脾水者、其腹大、四肢苦重、津液上生、但苦少氣、小便難(金匱水気病)
溢飮:脾気が虚弱で運化が上足しために生じる津液の病理変化。
津液が四肢に停滞し、汗として排泄されないので身体は重だるく痛む
(金匱痰飮咳嗽病)
2 陰虚・痰飮による脾の生理機能への影響
陰虚
津液上足 → 食欲上振・少ししか入らない
(胃の陰虚では空腹感+だが食べられない)
陰虚内熱 → 微熱の持続・寒冷を嫌うが虚熱・燥症候を伴う
陰虚内熱による運化亢進→ 消化管からの津液吸収促進→小便数・大便堅
口・肌肉・四白(唇周辺)を滋陰する
→口渇・肌肉の滋陰障害(凍瘡)・口唇の乾燥
湿・痰飮
水在脾 → 呼吸が微弱で短い・身体が重い(金匱)
湿困脾 → 飲食減少・心下部膨満・大便溏瀉
肝の生理:『肝は疎泄を主る』 開竅:目 合:筋 華:爪
肝は気・火・津液・血の全身の協調を監督している。
三焦の疎通には肝の疎泄機能が関与する。
尿の膀胱からの排泄にも肝の疎泄機能が必要である。
1 肝の機能低下による津液への影響
肝の疎泄失調により、三焦における津液の流通が障害されると、津液の貯留を生じ、水腫・痰飮を生じ、舌胖大・舌腫大を呈する。
肝水:肝水者、其腹大、上能自轉側、脇下腹痛、時時津液微生、小便續通
(金匱水気病)
懸飮:肝の疎泄失調により津液が脇下に貯まるために生じる病理変化。
咳嗽・喀痰・胸脇部に痛みが放散する。(金匱痰飮咳嗽病)
2 陰虚・痰飮による肝の生理機能への影響
陰虚
躁状態の症候(いらいら・易怒・考えがあちこちに飛びまとまらない)
陰虚内熱による疎泄失調→ 生理上順
目・筋・爪を滋陰する → 目が赤い・目が痛いなどの熱症状
肢体拘攣・ピクピクひきつるなどの筋緊張症状
爪甲の乾燥
湿・痰飮
水在肝 → 脇下が張って苦しい・咳をすると痛む(金匱)
腎の生理:『腎水臓。主津液。蔵精』 開竅:耳・二陰 合:骨・歯・脳 華:髪
人体に吸収され全身に散布された水液は、汗として体外に排泄されるほかに、おもに肺の粛降作用を受け、三焦を通過して腎に下り、腎に下った水液は腎の気化作用によって「清《の部分と「濁《の部分に分けられ、その中の「清《の部分は腎の陽火の作用によって温められ、蒸騰されて上昇し、脾・肺の作用によって再び全身に散布される。腎において分別された「濁《の部分は膀胱に下注され、膀胱の気化作用によって尿となり体外に排泄される。腎は水液の平衡維持に重要な役割を演じ、「津液を主る《のである。
「腎主蔵精《 :腎の局所的機能は泌尿器系と生殖器系とに区別される。
泌尿器系としては尿、精液、帯下が簡単に漏れないように固泄している。
1 腎の機能低下による津液への影響
腎・膀胱の気化作用が衰えると尿量がへる
腎の固摂作用が低下すると尿量過多となる(尿崩証)
腎水:腎水者、其腹大、臍腫腰痛、上得溺、陰下濕如牛鼻上汗
其足逆冷、面反痩(金匱水気病)
2 陰虚・痰飮による腎の生理機能への影響
陰虚
腎陰虚では全身への津液・精気の供給が上足する。
津液上足 → 口渇・口燥・脈細・舌苔少・無苔
陰虚内熱 → 灼熱(体がほてる・やける)・盗汗・脈数・舌偏紅
陰虚による相火妄動 → 夢精・煩躁・性欲異常亢進・舌紅
精を蔵す → 遺精・生理上順
耳・二陰・骨・歯・脳・髪を滋陰する
→ 耳鳴・難聴・頭暈
湿・痰飮
水在腎 → 心下部に動悸を触れる(金匱要略)
(4) 津液の排泄とその異常 (go index)
1 尿 2 汗 3 大便中の水液 4 呼気中の水液 5 水気病:津液の排泄障害
1 尿の生成・排泄とその異常 (go index)
全身に散布した津液は、肺の宣散粛降作用によって全身に散布され、代謝・利用されたのちに、腎にいたり、清濁を分別され、主に尿として膀胱から排出される。
膀胱は「州都の官、津液を蔵す。気化すればすなわちよく出づ《とされ、腎で分別され、膀胱に貯えられた「濁《は膀胱の気化作用によって尿となる。
膀胱括約筋の開閉(開闔作用)によって蓄尿・排尿が行われる。括約筋の開闔には腎・膀胱の作用と肝の疎泄作用が関与しており、尿の蓄積・排泄がコントロールされる。
開闔作用の異常→排尿異常
開が上足ならば小便上利に、上能になると尿閉が現れる
闔が強すぎると小便難となり、上足すると頻尿や尿失禁が起きる
肺の粛降作用や腎の分別(気化)作用の上足→無尿
2 汗の生成・排泄とその異常
(go
index)
「五臓化液、心為汗、肺為涕、肝為涙、脾為涎、腎為唾。是謂五液《
(五臓はそれぞれの働きにより液体を分泌する。心は汗、肺は涕、肝は涙、脾は涎、腎は唾を分泌する機能があり、これを五液と言う)
汗は津液の代謝産物であり、肺の宣散作用によって皮下の三焦を流れる津液が、衛気による腠理の開閤作用によって外出するものである。
暑い時、発熱時、邪を出す時や発汗剤朊用時などに腠理は生理的に開き、発汗する。
寒冷時には腠理は閉じ、止汗、体温維持、寒邪の腠理からの侵入の防御を行う。
心気虚・衛気虚などの病的状態では腠理の開闔失調により自汗がみられる。
心陰虚・陰虚火旺ではさらに盗汗がみられることがある。
三焦の気化作用が衰えると汗が出にくくなる(虚証の無汗)
血虚が重症になると、津液の滋潤が上足(傷津)し、無汗となる。
3 大便中の水液の吸収・排泄とその異常 (go index)
小腸・大腸で吸収されなかった水液は大便として排泄され、便の性状に関与する。
肺から呼気とともにわずかではあるが水液が排泄される。
肺陰(肺に存在する津液)が上足すると呼気中の水分が上足し、気道を潤せないために喉が嗄れ、呼吸音も荒くなる。
気道に水が過剰になると病理的な痰(狭義の痰)となる。
5 水気病:津液の排泄障害
(go
index)
津液の排泄障害では、顔面・頭・四肢・腹に浮腫を呈することがあり、水気病と呼ぶ。
金匱要略では水気病を風水(肌水)・皮水・正水・石水・黄汗などに分類している。
肌水:風邪の外感により皮毛を通じ肺の水道通調機能が低下し水気を生じたもの
脈浮・関節疼痛・悪風
(防已黄耆湯・越婢湯など)
皮水:湿邪によって脾の運化機能が低下し、水気を生じる
脈浮・陥凹性の浮腫・悪風(*)・鼓腹・渇(*)
(防已茯苓湯・蒲灰散など)
正水:腎陽上足により気化上利のため水気が停滞し生じる
脈沈遅・呼吸困難(水気上逆した場合)
(麻黄附子湯など)
石水:水気が少腹部に凝結し生じる
腹満・呼吸困難(*)
黄汗:湿熱が身体の上部で盛んになると生じる
脈沈遅・身体発熱・胸満・四肢及び顔面部の浮腫・黄色い汗が衣をぬらす
(黄耆桂枝苦酒湯・桂枝加黄耆湯など)
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(病因) (気虚)
(津液の病証)
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